糖質制限ダイエットを行う前に知って得する2つのこと

最近、若い人の中で「糖質制限を始めて・・・」という言葉をよく耳にします。糖質制限を行うことはダイエットや体にとって良い影響をもたらすように感じられます。しかし、その前に人間のエネルギー生産システムである「解糖系」と「糖新生の怖さ」を知る必要があります。

Sugar Cubes

解糖系という言葉をご存知ですか?

人間は年齢によってエネルギー生産システムが異なります。解糖系と呼ばれるシステムが20代をピークとして、およそ50代位まで主として働きます。

人間のエネルギー源は主に三大栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質)です。これらを体内でエネルギーに変換して燃焼させることで様々な生命活動を行うことができます。

解糖系とは食事から摂取したグルコースブドウ糖)を細胞の中に取り込んで利用しています。専門的に言うと、解糖系→クエン酸回路→電子伝達という経路を通ることでエネルギーへと変換することができます。つまり細胞内の細胞質でグルコースをピルビン酸、または乳酸に変換する経路です。

簡単に説明すると

糖質を分解してエネルギーを生産するシステムです。50代位までは主に炭水化物・糖質を分解することでエネルギーが作られます。

糖質制限の怖さ「糖新生

20代から50代までの人が糖質を不必要に制限すると糖質不足を補うために筋肉の分解が引き起こされます。これを「糖新生」と言い、タンパク質を分解することでアミノ酸ブドウ糖へと変換されるシステムです。特に10~20代の女性が糖質制限や炭水化物を完全に抜いてしまうと筋肉が分解され、筋力の低下が起こる原因となります。

仮に糖質制限により、痩せることができたとしても顔にシワが深く刻まれるなど不自然な老けた痩せ方となったり、若くして顔にほうれい線ができてしまうといった現象が起こります。これが糖質制限ダイエット、炭水化物抜きダイエットの怖さです。

Lifestyle Lift - Before and After 2

インナーマッスルが著名に低下

糖新生による筋力低下はインナーマッスルと呼ばれる体にとって重要な筋肉が対象となります。インナーマッスルは長年かけて築きあげられたものです。一旦低下してしまえば再びすぐに取り戻すことは困難です。

インナーマッスルとは

体の深層部にある筋肉のことです。姿勢を保持するための調節や関節を正常な位置に保つ役割があります。

不健康へ一直線

糖質・炭水化物を制限する

   ↓

解糖系によるエネルギーが生産できなくなる

   ↓

代わりにタンパク質からエネルギーが生産される

   ↓

糖新生による筋肉の分解・低下が起こる

   ↓

新陳代謝が下がる(体温・免疫力が下がる)

   ↓

太りやすい体質となる

   ↓

食事制限を止めるとすぐにリバウンドする

   ↓

さらに糖質・炭水化物を制限してしまう

   ↓

徐々に不健康になる

負のスパイラル

痩せるどころか太りやすい体質となり、糖質制限を繰り返し行うことで最終的には健康に害を及ぼす結果となります。

50代以降のエネルギー生産システム

50代を境にエネルギー生産システムが変更されます。解糖系からミトコンドリア系と呼ばれるシステムへと変化していきます。

ミトコンドリア系とは?

聞き馴染みのない言葉でしょう。これは酸素を使って主にタンパク質をエネルギーに変えるシステムです。50代までの解糖系に必要とされていた糖質や炭水化物をあまり必要としなくなります。逆に50代を超えると糖質や炭水化物を取り過ぎないように注意する必要があります。

このミトコンドリア系は酸素を取り入れながら高体温の環境下で活発に働くことができます。エネルギー生産を効率的に行うためには日頃から深呼吸や入浴、軽い運動(体温が下がらないように)を習慣とする必要があります。

Jogging along the Thames

50代以降の人の食生活

糖質を控えめにして炭水化物や脂質、タンパク質のバランスを考えて普段の食生活を見直してみましょう。

糖質制限の認識を高めましょう

人間はエネルギー源を獲得するために最低でも一日130~150gの糖質が必要だと言われています。肥満の人や高齢者など、確かに糖質制限を行わなければならないことがあります。しかし、糖質制限に対する知識を全く持たず、ただ単にダイエット目的で気軽に行うことは決しておすすめはできません。特に若い人が糖質制限を行うことはとても危険な行為だからです。

もし、痩せるためだけに糖質制限を行うのであれば、これを機に人間のエネルギー源となる糖質や炭水化物が体に対してどのような影響を及ぼすのかを学びましょう。

糖質制限は専門家の指導の下で行うべき

スポーツジムなどでは、この糖質制限を行いながら筋肉を落とさずにダイエットを行えるところがあります。確かに糖新生を利用して理想の体型を手に入れる方法があります。しかし、これは経験と知識が豊富なトレーナーの指導の下で行うものであり、一個人として安易に行うべきではありません。

Gym

終わりに

人間のエネルギーの生産方法は年齢によって変化していきます。これは非常に重要なことです。50代までは、むやみに糖質制限や炭水化物抜きを行うことはエネルギーの生産が困難となるため非常に危険な行為です。またエネルギー不足が慢性的に続くことで、日常生活に支障をきたすだけではなく仕事における生産性やパフォーマンスの低下にも繋がります。やはり、若い時には糖質制限や炭水化物抜きは極力しない方が良いでしょう。これを機に自分自身の年齢を考慮して現在置かれている体の状態を把握してはいかがでしょうか。